夏の夜明け

夏のパートの始めを、雲海の夜明けにしようと、浅草岳に登った。

会津の、特に只見川流域は、夜間が晴れると必ずと言って
良い程明け方が霧になり、日の出から2〜3時間は霧に覆われ
てしまう。ならば、霧の上に出てしまおうと、撮影内容を、
里の風景と背後の自然(山岳風景)にシフトした経緯がある。

この日も、週末が良い天気になるとの予報で、入叶津口から
登り、夕方には今は無い、避難小屋に到着し一泊した。
宿泊者は自分1人で、水場で冷やしたビールで乾杯し、夕食を
摂り、ロウソクの灯りの中、ウイスキーを舐めながら、
ラジオを聞いて微睡み、眠りに就いた。

夜明け前の撮影なので、次の日は二時起き。簡単な朝食を済ませ
ヘッドランプの灯りを頼りに、小屋を出た。頭上には満天の星。
少し風が有るが、よい天気だ。2~30分程で、目的地の天狗の庭。
三脚とカメラをセットし、撮影の準備。東側の空が、少しずつ
茜色に染まり始める。

夏の明け方、空にはオリオン〜冬の大三角形と双子座。空には
既に冬の星座が昇っていた。眼下には雲海の連なり。地上はまだ
眠りの中だ。