四月の三島へ、

もう10日程前になるが、ある人に会う為に奥会津三島町に行って来た。
当日は雨の磐越道を西に向かい、坂下インターで高速道を下りて沼田街道を
只見方面に向かった。会津盆地では、平地には殆ど雪は無かったが、七折峠の
トンネルを過ぎると、周囲の山々はもとより平地にもかなり雪が残っていた。
只見川に掛る赤い柳津橋を渡る前に左折し、柳津の町中で手みやげにする為
粟饅頭を買った。雨模様で冷えた空気の中、饅頭を蒸す時の湯気だろうか?
店の軒先から蒸気が勢い良く出ており、見ていて温かな気持ちにさせてくれた。
おまけに1つ頂いた粟饅頭をほおばり、三島に向かった。

約束していたH氏の工房は、只見川沿いの小さな集落の外れにあった。周囲は
まだ数十㎝の雪が残っていて、この冬の雪の多さを偲ばせた。H氏の工房は
廃校になった昔の分校を間借りしており、ご挨拶のあと、玄関脇のダイニングで
コーヒーを頂きながら、会話が始まった。

最初はHPで相互リンクをして頂くのに、メールだけでは失礼かなと思い、時間を
頂き挨拶に出向いたのだが、ほんの20〜30分のつもりが、話が弾んでしまい、
二時間も長居をしてしまった。話の内容は、工房の話や作家として自立するまでの
道程、創作時のアイディアや背景等々、インタビューするがごとく多岐に及んで
しまった。驚いたのは、自分の実家近くで工房を構える陶芸家さんとも知り合いで、
陶芸家さんから話を伺っていた画家のSさん‥と人脈が繋がって行き、思ったよりも
世間が狭い事を実感した。

まだまだ色々な話をお伺いしたかったが、時間も押し迫り夕方になったので、
工房を後にして帰路に就いた。沼田街道に出て望む飯谷辺りの只見川は、まだ春浅く
色彩に乏しいモノトーンの世界だった。冷たい雨も春の便り。一雨毎に暖かさを
増して、あと半月程で桜の便りも届くに違いない。小雨模様の中、柳津から新鶴に抜け、
会津盆地の南側を廻って湯ノ上から羽鳥の峠と、2時間程で郡山の実家に着いた。