豪雨と雪食地形

普段テレビを見ない自分は、Webのニュースで、新潟・福島の両県で、
豪雨による河川の氾濫等で、かなり広範囲に渡って水害が発生し、
避難勧告が出されている事を知った。

程なくして、只見町で土嚢を積んでいた方が無くなられたり、
金山の四季彩橋や只見線の橋脚が流出したり、至る所で土砂崩れが
発生し、道路が寸断されている事を知った。311は福島県の東端、
今回は西の端で自然が猛威を震った。

会津の山々は、南部はブナ林が発達し、山の斜面は有る程度の
保水能力を持っているが、只見町の会津朝日や毛猛以北,
金山から新潟の村松に掛けての御神楽岳〜矢筈山塊辺りは、
雪食地形と呼ばれる、山の稜線を除いて斜面には樹木が乏しく、
雪崩に磨かれたスラブと呼ばれる急峻な斜面が連なる地形が
続いている。

冬なら豪雪になり、積雪として蓄えられ、春以降緩やかに
排出される水が、保水力能力に乏しい山の斜面を滝となって
駆け抜け、一気に鉄砲水を発生し、本流の只見川へと注ぎ込む。
本流の源流側でも豪雨があれば、本流の水位が上がり、
支流からの水が注ぎ込めず、逆流して氾濫する事も生じる。

平素は穏やかで美しい自然も、時として荒れ狂い猛威を震う。
その土地に生きる人々は、自然の猛威には叶わない事を知らされ、
幾度災害にあっても辛抱強く立ち直り、事を言い伝えとして
受け継ぎ、謙虚に生きて来たのだと思う。

被災された方々が、早く普段の生活に戻れ、美しく穏やかな
この地が戻ればと思う。

写真は、雪食地形、
秋の御神楽岳・前岳付近
冬の只見川・上田ダム